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| インタビュー |
| 取材者:禅ネットワークサービス 藤井 |
| 今回、茶井さんのホームページを作成することになりました藤井です。よろしくお願いいたします。今日は日本茶専門の喫茶店を始められた経緯をお聞かせ下さい。早速ですが、自己紹介とお店の紹介からお願いいたします。 |
| 茶井店主:茶井という日本茶喫茶を始めました佐藤です。茶井と言うのは、一言で言うと『プロが入れた日本茶が飲める店』です。もともとはここで祖父が乾物の店を大正の終り頃に開業しまして、以来ずっと商売を営んでいるのですが、父の代になって昭和の景気のよい頃には、ミニスーパーマーケットみたいになっていました。生鮮食料品から日用品までいろいろありました。そして昭和も終わりになるとコンビニエンスストアが出てきて経営環境も変ってきて、業態を変えようか迷っていたようですが、しませんでした。と言うもの私が跡を継がないと宣言していたからです。少なくともコンビニのような業態はやりませんと。 |
| それでは佐藤さんは他に何かやりたいことがあった・・・ |
| 茶井店主:ええ、実は中学生の頃からコーヒー好きで、中学のとき部活とは別に写真が好きでカメラマニアの先生といっしょに鎌倉や東京を撮影に歩き、そこでちょっと休憩に立ち寄る喫茶店が別世界に入った感じでとても好きになり、それ以来、コーヒーの芳香が様々にイマジネーションを膨らませるようで、コーヒー党になりました(笑)。大学のときに、コーヒーを自分でブレンドする先輩に出会い、また近世ヨーロッパで成立したコーヒーハウスという今の喫茶店の原型みたいなものがあることを知りました。 |
| コーヒーハウスですか、もう少し詳しくお聞かせ下さい。 |
| 茶井店主:コーヒーハウスというのは、様々な階級の人々が自由に話ができる場であり、また新聞などのメディアがまだ成立していない時代の情報形成と発信の中心として活躍しました。中世のがっちりとした階級社会が徐々に崩壊してゆく時代で、立場の違う人々が交わり、自由に話しあうことで、今までならば教会という権威の中に押し込められ隠蔽されるはずであった情報が、街に筒抜けになった。このことで自由がどんどん広まってゆく。コーヒーハウスはそのような時代の、いわゆるサロンと言う重要な場所でした。茶論なんて当て字をする雑誌もあったりして(笑)。 |
| それではコーヒーハウスあるいは喫茶店をやりたかった? |
| 茶井店主:はい。実は、就職も謀大手コーヒーチェーンなのです。 |
| どうしてコーヒーからお茶になったのですか? |
| 茶井店主:〜8年ほど会社勤めをしていて、歳も30になったことだし店を出してみようと思い、退社して物件探しを始めたわけです。人生かけてやることだから立地調査なども人任せで失敗したくないし、チェーン店本部に加盟しても彼らが立地の良し悪しを責任取るわけでもないし、自分で歩いて探しました。ところがバブル崩壊・・・いい物件がどれだかわからなくなるわけです。で、そのあいだは親の店を手伝っていたわけです。これが運命の分かれ道となるわけです。 |
| といいますと・・・ |
| 茶井店主:〜店ではお茶も販売しておりましたから、手伝いとはいっても取扱商品についての知識と説明ができなくてはだめですからね。そこで乾物類を中心として勉強してみたらこれがおもしろいわけです。また、その当時インターネットが普及し始めてきて、農薬やスローフードについての情報がどんどん入ってくるわけです。そこで店で売っている乾物類の生産履歴を調べてみたりしました。残念なことにお茶は履歴が取れない。というか、卸してくれている問屋さんが教えてくれない、わからないという現状がありました。それでは安全なお茶はどこで仕入れたらよいのか?と言うことでお茶の仕入をやるようになったのです。 |
| ようやくお茶との接点が出てきましたが、日本茶を販売するために勉強して、仕入もご自分でするようになった。でも喫茶開業にあたってコーヒーではなく、日本茶にした理由なんだったのですか? |
| 茶井店主:重要なご指摘です。販促用のグッズの展示会で偶然出会った―高円寺でお茶屋を営んでいる―渡辺さんがいろいろお茶の仕入についてアドバイスをしてくださったのがすべてのはじまりです。ご紹介いただいた中でも特に『琥珀』という釜炒り茶に出会ったことによって、お茶の味は忘れられないものとなりました。それまで知っていたはずのお茶の味と言うものがすべてブッ飛んでしまいました。それは、入れ方の問題だったのです。入れ方ひとつでこうも違うものかと。これならいけると思いました。安全なお茶とおいしい入れ方の両方を同時に提供できる日本茶喫茶を思いつきました。 |
| それで、開業されるわけですね。 |
| 茶井店主:いいえ、入れ方がわかっただけですから、まだまだ開業できるほど甘くはないです。というのも、生産履歴がわかっていることは今後当たり前になるでしょう。でもお茶はおいしくないといけません。よくある有機栽培茶なども値段が高い割りに味が伴わないことが多い。それは農薬を使わないから葉っぱの半分は虫に食べられてしまい、同じ手間隙かけて取れる量が半分なのだから価格は倍になるしかない。百歩譲って倍は受け入れたとして、半分の味があるかと言うとそれすらないのでは・・・安全でしかもおいしいお茶作りをしている生産家と出会う必要がありました。 |
| 出会えたのですか? |
| 茶井店主:出会えました。ラッキーだと思います。日本茶インストラクターの資格もずいぶんと役に立ちます。まったくの素人やあやふやな話では生産家も話を聞いてくれませんからね。今年も新たにお茶を作っていらっしゃる方と出会い、おいしいお茶を分けてもらいました。ですからお茶の種類がどんどん増えてしまいまして、現在は25アイテムの上級煎茶を扱っています。余談ですが、ひとくちにお茶といっても100種類以上あるんですよ。緑茶の種類の話なんですけど。たとえばお米の種類に「コシヒカリ」とか「あきたこまち」とかあるでしょう。それと同じように「やぶきた」とか「ゆたかみどり」「さやまかおり」、なんだか女の子の名前みたいでおもしろいでしょ(笑)。で、いろいろな種類があって味がみんな違う。また栽培方法・栽培環境や有機農法さまざまあって、それらの後天的要素によっても味が違ってきます。お茶の味というかおいしいさの条件はなにか、と考えたことがあるのですが、よく言われることですが味は五感で感じるものだと。お客様が期待するおいしいお茶の味は、旨み、甘み、渋味などですが、他にも器の手触りであったり、室内の内装やデコレーションも大事です。千利休が茶の湯としてお茶を飲む空間と時間のすべてをプロデュースしたことはうなずけると思います。今までのお茶屋さんはその辺についてはお客様にお任せをしておいて、茶葉の供給だけをしていればよかった。でも、今の若い世帯では急須すらないという状況です。そうするとおいしいお茶の販売は茶葉だけ売っていてよいのだろうか。もっと取り組むべき課題や提案すべき要素がたくさんあるのではないか。おいしいお茶とそれをいただく空間と時間、つまり私たちの喫茶文化そのものではないか。 |
| なるほど、茶の湯とコーヒーハウスがここでひとつになるわけですね。 |
| 茶井店主:やはり、いまのこの忙しい社会では、友達とお茶でのんびりなんていう時間は日々持ち得ないし、いわゆる立ち飲みの空間は本来喫茶店が持っていた質とはかけ離れた、いわば長距離ランナーの補給所みたいなもの。あるいは休みの日に、黙って座って一時間お茶をすすろうとしても案外難しい・・・それくらい常に時間に追われています。そこで本来の喫茶店の質を求め、おとなの会話やくつろぎの時間と空間を提供するためには、コーヒーでは既にあれこれあって、それよりも違った印象を持たれる日本茶のほうが相応しいのではないかと思います。実際に始めてみて、私自身はお茶の世界はまったくの素人ですが、お茶文化というものは日々発見という感じです。お茶と喫茶文化のすばらしさ・感動をもっともっと広く伝えたいと考えます。 |
| 日本茶を題材にして喫茶店を開かれた本当の理由はずいぶんと深いところにあったわけですね。今日はどうもありがとうございました。今後も是非、「おいしいお茶の時間」を皆様にプロデュースしてください。 |
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日本茶専門店「茶井」
代表 佐藤国久 |